Monthly Archives: February 2010

PRIMEスタディツアー2009 沖縄平和学スタディツアー 

コーディネーター
竹尾茂樹(国際平和研究所所長)

 

参加申込書
こちらからダウンロード下さい。(MS Word2003)

 

参加申込み方法、お問い合わせ:
■申し込み締め切り: 1217日(
 ※締め切りました。
■申し込み方法:
・上記参加申込書に連絡先や志望動機などを記入
※志望動機は、400字程度で結構です。

①印刷したものを平和研(白金校舎)まで持参
②件名を「【沖縄スタツア】申込み」とし、下記連絡先までパソコンメールでお申込み下さい。
(携帯メールからの応募不可)

■注意事項:
現時点では、費用や訪問日程などの詳細は未定です。決まり次第ポータルサイト・HPでお知らせします。
平和研からの連絡は原則、パソコンからパソコンへのメールでお送りします。(添付ファイルなどがあるため。)

■関心のある方は・・・
平和研までお気軽にお問い合わせ下さい。
・メールの場合は、件名を【沖縄スタツア】とし、お名前(フリガナ)、学籍番号、学年、学科を明記し、
prime@prime.meijigakuin.ac.jpまでメールで。
・訪問の場合は、
白金校舎にて受付けます。(18:00閉室)

■問い合わせ先・主催:
明治学院大学 国際平和研究所(PRIME)
mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
URL: http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/
白金校舎 本館9階南側 Tel 03-5421-5652 Fax 03-5421-5653 (10-18時)
横浜校舎 8号館3階 (10-17時)

 

説明会追加開催情報:
■説明会も追加開催します!! ※終了しました。
12月14日(月)昼休み 12:35-13:25 @横浜校舎、8号館821教室
※ 説明会への事前申込みは不要。

* 説明会に出られない場合は個別に説明を行います。(要事前予約)
横浜校舎:曜日、昼休み@寺田主任研究室[1415]
白金校舎:曜日、昼休み@国際平和研究所、本館9階
ご希望の方は、
寺田主任prime@prime.meijigakuin.ac.jp へ要事前予約。

概要 [09.12.3更新]
([右クリック⇒対象をファイルに保存]で、保存してからご覧下さい。)
************************************
国際平和研究所(PRIME)
沖縄 平和学スタディツアー 参加者募集!
************************************
明治学院大学 国際平和研究所(PRIME)では、昨年に続いて第2回のスタディツアーを企画します。
人々が地域の社会において、安全が脅かされることなく、自分たちの歴史や文化に誇りを
もって生きる条件は何かを実際に地域を訪れ、見聞・交流することで考えます。

時期:
2月22日(月)もしくは23日(火)から1週間程度(6泊7日程度)
募集人数:
15人程度、応募者多数の場合は選考
費用:
10万円以内(飛行機代約3万円、現地交通費、宿泊費、食費など。詳細後日)
引率:
竹尾茂樹(国際平和研究所所長、国際学部)ほか国際平和研究所所員。
条件:
・スタディツアーの趣旨を理解し、団体行動が取れる学生
・事前勉強会(1月~2月)の参加が必須です。日程は後日調整。毎月2回程度。
…グループ学習会を実施し、自分の問題意識を掘り下げ、現地訪問の準備をします。
・報告書を作成し、報告会を実施します。


参考文献: (平和研にて、ただいま無料配布中)
南を考える10号「いのちの沖縄」(国際平和研究所、2008年発行)など。別途指示します。

訪問場所(予定): 沖縄本島中心
南部戦跡
・辺野古

・南風原文化センター
・読谷の写真家比嘉豊光さん、佐喜真美術館、知花昌一さんの案内で、チビチリガマなど

佐喜眞(さきま)美術館 :
【住所】 〒901-2204 沖縄県宜野湾市上原358 TEL:098‐893‐5737
開館時間:9:30~17:00 火曜日休館  HP:http://sakima.jp/
丸木位里・丸木俊作「沖縄戦の図」をはじめ、「生と死」「苦悩と救済」「人間と戦争」というテーマに沿った作品を展示し、修学旅行生の受け入れなど平和学習にも力を注いでいる平和美術館。美術館は普天間飛行場に隣接、基地を一望する。

南風原町立南風原文化センター:
参考URL:http://www.ocvb.or.jp/card/ja/0020330300.html
【住所】 〒901-1113 沖縄県南風原町 喜屋武257 TEL:098‐889-7399
開館時間:10:00~18:00)定休日:毎週水曜日
沖縄南部の交通の要衝として栄えた南風原町にある文化センター。常設展示室には、沖縄戦・移民・民俗・民俗芸能の4つのコーナーが設置されている。沖縄戦のコーナーには、陸軍病院壕を再現したものや旧南風原陸軍病院壕から出土した遺留品が展示されており、沖縄戦当時の南風原の様子や人々がどのような体験をしたかを学ぶことができる。2009年11月に新築オープンし展示も一新したものを見ます。隣接する沖縄陸軍病院 南風原壕もガイドさんの案内で見学します。

※知花 昌一(ちばな しょういち)さん:
1948年 生まれ。沖縄県在住の平和運動家。反戦地主。沖縄戦の歴史の掘り起こし、昭和天皇沖縄訪問により強まる日の丸・君が代の強制に対する抵抗運動で知られる。『焼きすてられた日の丸 基地の島・沖縄読谷から』新泉社。

※比嘉豊光(ひが とよみつ)さん:
1950年沖縄県読谷村生まれ。読谷村在住。写真家。1997年より故・比嘉康雄、村山友江らと共に「琉球弧を記録する会」の活動を開始、その後「島クトゥバで語る戦世」で映像と音声によるする。最近は2009年5月8日~6月15日にかけて、1970年~72年の沖縄を記録した写真展「シマの匂い、シマの風」を佐喜眞美術館で開催した。

辺野古:
名護市東部の久志地域に位置する集落で、普天間飛行場の移設予定地とされるキャンプ・シュワブがあることで知られている。大浦湾に面する海岸では新基地建設に反対する座り込みや海上阻止行動が行われており、沖縄の反基地運動の最前線の場所となっている。

 

関連学習会
★12月5-6日(土、日)
国際シンポジウム(国際平和研究所主催)「自治と自立を求めるさまざまな声~国なき民族の現在~」
シンポジウムでは沖縄・インドのナガランド・西アジアのクルドについて取り上げます。
参加し、感想文を提出すれば、選考で考慮します。
詳細は http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/katsudo/sympo/sympo2009.12.htm

★12月7日(月)4限 スタディツアー勉強会
講師:石垣金星さん @横浜校舎、8号館5Fラウンジで開催。
島の自然と生活に結びついた文化の継承のあり方を、あらためてみてみましょう。
西表島の古い祖納集落から石垣金星さんを招いて、島の暮らしぶりや、歌の数々を聴く機会を設けます。
レクチャーの後には参加自由の懇親会もあります。

【公開研究会】 「グローバル化と平和」プロジェクト『今、国際援助はどうなっているのか?ー「南」の声、「北」の声』

講師
山田太雲さん(オックスファムジャパン、アドボカシーマネージャー)

 

日時
2010年2月17日(水)18:00~20:00

 

場所
明治学院大学白金校舎本館 1252教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
(JR品川駅・目黒駅よりバスで約10分、 東京メトロ白金高輪駅、白金台駅、高輪台駅より各徒歩約7分)

 

研究会概要
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
公開研究会   「グローバル化と平和」プロジェクト
『今、国際援助はどうなっているのか?ー「南」の声、「北」の声』
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
第一部:「南」から:明治学院大学勝俣ゼミ生製作映像プラス解説
第二部:「北」から:日本のODA:ミレニアム開発目標への貢献を阻むものは何か?
~アドボカシーNGOの視点から~

■講師: 山田太雲さん([特活]オックスファム・ジャパン アドボカシー・マネージャー)
司会と解説: 勝俣誠(明治学院大学国際学部教員、PRIME所員)
■日時:2010年2月17日(水)18時~20時
■会場:明治学院大学 白金校舎、本館1252教室
■概要:
世界不況で日本社会も萎縮してともすると世界を見回し、考える余裕がなくなってしまう今。
だからこそ、世界の貧困と格差と闘う市民社会の声を聞いて、希望のシナリオを考えたい、見つけたい。
これが今年度最後の公開研究会のテーマです。

■ 講師略歴: 山田 太雲(やまだ たくも) (特活)オックスファム・ジャパン アドボカシー・マネージャー 2002年より現職。発展途上国の貧困問題に関する政策提言やメディアへの情報発信などを担当。 現在は主に貧困層の教育・保健サービスへの権利実現のためのODA拡大・改善を日本政府に働きかけている。開発NGOのアドボカシー連合体である「動く→動かす」では政策チームのリーダーを務める。英国立セント・アンドリュース大卒(国際関係学修士)。
******************************
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
〒108‐8636 東京都港区白金台1-2-37
Tel:03(5421)5652/Fax:03(5421)5653
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
******************************

報告
 

生物多様性条約と先住民族~名古屋でのCOP10に向けて~

講師
道家哲平さん (日本自然保護協会/保全研究部 国際自然保護連合(IUCN)日本委員会事務局担当)

 

日時
2010年2月17日(水)1830~20:00

 

場所
明治学院大学 白金校舎 本館 3階 1302教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
(JR品川駅・目黒駅よりバスで約10分、  東京メトロ白金高輪駅、白金台駅、高輪台駅より各徒歩約7分)

 

研究会概要
*********************
生物多様性条約と先住民族
~名古屋でのCOP10に向けて~
**********************

日時:2010年2月17日(水)1830-20:00
会場:明治学院大学白金校舎 本館1302教室
講師:道家哲平さん(日本自然保護協会/保全研究部 国際自然保護連合(IUCN)日本委員会事務局担当)

コメンテーター:上村英明さん(恵泉女学園大学平和文化研究所所長、市民外交センター代表)

内容:2010年10月名古屋で開催される生物多様性条約の第10回締約国会議。
ここでは、先住民が蓄積してきた自然に関する伝統的知識をどう守っていくか
という指針などが議論されます。
09年11月に行われた伝統的知識の保護に関する準備会合の成果・様子や
COP10に向けた市民ネットワークの取組みなどを紹介します。

主催:明治学院大学国際平和研究所(PRIME)・市民外交センター
******************************
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
〒108‐8636 東京都港区白金台1-2-37
Tel:03(5421)5652/Fax:03(5421)5653
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
******************************

報告
 

記憶と地域をつなぐアートプロジェクト 「こころのたねとして 白金 高輪2010」~記憶に埋もれたものを 掘り起し、 記憶の中にある場所を一緒にのぞいてみませんか?~

ゲスト
原田麻以さん(NPOこえとことばとこころの部屋スタッフ)

 

日時
2010年2月7日(金) 15:00~【全プログラム:2時間ほど】

 

場所
会場:白金商店会四の橋市場  港区白金1-15-4(白金高輪駅徒歩5分) 地図

 

研究会概要

 ※出入り自由 参加費:無料

プログラム 内容 場所

2010年2月第一週(数日間)

学生と対象者 交流 聞き取り 白金・高輪エリア
   2月7日(日) 「こころのたねとして」朗読会
トークセッション
白金商店会四の橋市場

今、自分たちが関わる場所、通り過ぎる場所、立ち止まる場所・・・自分たちはどのくらい知っているのでしょうか?

現在、白金地域は再開発やマンションブームにより新しい住民が増え、地域での交流・無関心が生じています。白金といえば「シロカネーゼ」のイメージが先行し、「志田町」に代表される下町人情の残る庶民的風景は急速に消えていき、遠い記憶の中に埋もれつつあります。そうしたなかで、地域に所縁のある方の暮らしや営みに若者たちが触れ、そこに暮らすヒト、そこにあるモノ、そこで起こるコトに出会い、聞き取りを行いながら、まちと人の過去をとどめながら、未来に向けて、モノガタリとして紡ぎだします。そこで旧志田町エリアを中心に、明治学院大学の学生が「こころのたねとして」というワークショップを行います。

自分以外の誰かの人生をのぞいてみたら何が見えるだろうか?
家族や仕事、そして暮らしや営みに息づく場所・・・。

「こころのたねとして」とは?
大阪を拠点に活動するアートNPO「こえとことばとこころの部屋」が考案したワークショップ。地域に生きる人の、その人生を聴き取り、言葉や声や、身振りとして現前させ、そこに立ち会った人びとが、共にその土地との絆を結びなおす試み。
今回の、「こころのたねとして 白金」は、明治学院大学の10人の学生が志田町とゆかりのある人と出会い、共に時間を過ごし、その人と志田町との絆を詩として表現します。そして古くから人びとになじまれた「四ノ橋市場」を会場に朗読パフォーマンスを開き、町行く多くの人びとに「志田町」という場所との絆を感じてもらいます。
(このワークショップの様子はみなとケーブルテレビで3月後半に放送予定です)

志田町とは
白金志田町とは、今はもうその名称は地図になく、現在の白金1丁目と高輪1丁目あたりを指します。明治維新より志田町を含む白金高輪エリアは京浜工業地帯として発展、そのなかで町工場が進出してきました。昭和39年の東京オリンピック開催に伴い、放射1号線が開通し町内は東西に分断。そしてバブル経済により再開発やマンションブームが起きたため、工場の多くは海外や地方に移転されました。現在も周辺のマンション建設が続き、新しい住民、新しい事務所、新しい店舗が増えてきています。

白金志田町倶楽部
白金志田町倶楽部は「白金高輪エリアに居住、勤務、もしくは区域外にいても、この地域を愛し、もしくはこの趣旨に賛同する」20歳代から50歳代のメンバーからなる地域の交流と活性化を目的とした非営利の任意団体です。地元・近隣の7つの町会、3つの商店会のメンバー、地域外のメンバーが参加しています。工場主、商店主、会社、学者、デザイナー、音楽家、歌舞伎役者、アーティストなど異業種の人材約140名(2009.4.1現在)で構成しています。
港区社会福祉協議会登録ボランティア団体 HP(http://www.ifaps.org/kai.html

明治学院大学国際平和研究所
PRIME(明治学院大学国際平和研究所)は、世界平和実現の条件を研究し、学内外の平和研究者、NGO・平和運動関係者と学際的交流を行うことを目的として、 1986年に設立されました。普遍的視点からの地域的研究、社会性あるいは時代性のある研究、学際性の高い研究を重視しながら、平和の諸問題に取り組んでいます。

【主催】明治学院大学国際平和研究所×白金志田町倶楽部
※このプロジェクトは明治学院大学国際平和研究所
サブプロジェクト「平和学の空間的実践」の一環に位置付けられています。

【共催】明治学院大学教養教育センター付属研究所
「アートを通じた新しい教養教育の探求」研究会

【協力】白金商店会/魚らん商店会/NPO法人こえとことばとこころの部屋(http://www.cocoroom.org)/ みなとケーブルテレビ

企画への問い合わせ先
・白金志田町倶楽部事務局(地域担当) kai@ifaps.org
・猪瀬浩平(大学担当) kazekoukou@ybb.ne.jp
・森田友希(学生担当) yuki_mo_reta@yahoo.co.jp

******************************
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
〒108‐8636 東京都港区白金台1-2-37
Tel:03(5421)5652/Fax:03(5421)5653
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
******************************


報告

【研究会】開発倫理とポスト開発倫理の比較研究

講師
中野佳裕さん(立命館大学非常勤講師)

 

日時
2010年2月2日(水)18:00~

 

場所
明治学院大学 白金校舎 国際平和研究所
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
(JR品川駅・目黒駅よりバスで約10分、  東京メトロ白金高輪駅、白金台駅、高輪台駅より各徒歩約7分)

 

研究会概要
2010年 2月2日(火)18:00-20:00
「開発倫理とポスト開発倫理の比較研究」
講師:中野佳裕さんICU研究員、立命館大学非常勤講師)
会場:明治学院大国際平和研究所 (白金校舎、本館9階)

■内容
現行の「開発」は本当に平和に寄与するのか、むしろ資源争奪で紛争原因をつくるのではないか。アフリカや「南」の少数数民族の闘いを見ていても感じます。なぜ開発するのか平和研究から考えたい。これは「豊かさ」概念研究にもつながります。

******************************
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
〒108‐8636 東京都港区白金台1-2-37
Tel:03(5421)5652/Fax:03(5421)5653
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
******************************

報告
明治学院大学国際平和研究所研究会
演題:「開発倫理とポスト開発の倫理:比較研究への招待」
報告者:中野佳裕(国際基督教大学研究員)

報告要旨:
経済人類学者カール・ポランニーは、その著『人間の経済』(The Livelihood of Man, 1977年)において、オイコノミアとエコノミーという人類史を通じて現れた二つの経済様式について議論している。前者は古代文明以来営まれている人間共同体のサブシステンスを継続的に再生産するための物質的生産・交換関係を指すのに対し、後者は近代西洋文明において誕生した資本主義市場経済のことを指す。市場経済を基礎とする社会は商品の生産と交換を通じて資本の蓄積を目指す「成長社会」であり、無限の経済成長を目指すためにあらゆる社会関係を市場化してゆくことを正当化する。

新自由主義イデオロギーの下で金融と貿易のグローバリゼーションを推進し、先進国と途上国のあらゆる領域に市場原理を適用していく今日の世界は、まさにポランニーが省察する西洋近代の経済論理が「世界化」したものであると言える。ところが「世界の経済化」の結果、実体経済のグローバル金融への従属、先進国と途上国双方における格差の拡大、生態系の破壊、食料主権の喪失、文化の自律性の喪失といった様々な次元での社会関係の喪失をわれわれは経験している。2008年10月の米国発金融危機の影響の下、経済化した世界に生きる人類は、自らがこれまで依存してきた近代の経済論理の暴力とその自浄能力の限界を目にしている。この危機を乗り切る具体的で実用的な対案が必要であることは無論であるが、それ以上に重要なことは、われわれが依拠する経済論理とその世界観・価値観の限界を哲学的かつ文明論的に理解し、近代経済文明に替わる新たな文明的基礎を描くための思想を構築することではないだろうか。

このような理由から、本報告では、今日の世界経済の限界とそれに替わるオルタナティブな思想を倫理学の視点から考察しようと試みた。経済グローバリゼーションが南北関係と国際開発政治に与える倫理的な問題を今日的な視点から検証するために開発倫理の展開をまとめ、次いで開発倫理の批判として現れたポスト開発思想における倫理について議論した。
まず開発倫理についてだが、1970年代以来カント派政治哲学者や功利主義哲学者らによる「援助の倫理」が議論されてきたが、1990年代以降はアマルティア・センとマーサ・ヌスバウムらによる、アリストテレス倫理学に基づく「ケーパビリティ・アプローチ」が主流となっている。 本報告では、アリストテレス倫理学が注目されるようになった経緯を二十世紀後半の欧米の倫理学の展開を踏まえて説明し、その上で、センとヌスバウムの試みが、近代倫理学における抽象的な個人概念と非目的論的な人間像から離れ、社会に組み込まれた具体的な存在としての人間が為しうることの可能性(ケーパビリティ)を追求するという点で、開発倫理における人間概念のパラダイムシフトに貢献していることを指摘した。

しかし、ケーパビリティ・アプローチ(特にセン)は、実際の国際開発政治においては自由主義経済パラダイムと親和的であり、結果として現行の国際開発体制とグローバル資本主義の構造的問題を部分的に修正する程度の効果しか有さないことも、すでに多くの研究者によって指摘されている。ケーパビリティ・アプローチのこの限界は、ひとつには近代文明が生み出した経済論理の限界に対する批判的な省察が不十分であることに起因する。

このようなケーパビリティ・アプローチの限界を克服する可能性を示唆するものがポスト開発思想である、と報告者は主張した。国際開発政治の倫理的問題について取り組んでいる代表的なポスト開発思想家としては、フランスの経済哲学者セルジュ・ラトゥーシュが挙げられるが、興味深いことにラトゥーシュもアリストテレス倫理学の影響を受けている。報告者は、センとラトゥーシュとの間の思想的な相違は、アリストテレス倫理学の解釈ならびに西洋近代の評価の仕方にあると述べた。センは、開発政治を従来の経済成長中心主義から人間の根本的な自由を拡大する開発へと修正してゆくための応用倫理としてアリストテレス倫理学を援用するが、他方で近代が「発展」概念とともに生んだ諸々の価値体系や社会制度および人間存在の実存的問題に関しては根源的な批判を与えていない。対照的にラトゥーシュは、ハイデッガー、コルネリュウス・カストリアディス、イヴァン・イリイチ、アンドレ・ゴルツなどの近代産業社会批判の影響を受けながら、今日の開発政治が抱える諸々の問題を近代西洋の文明的基礎の限界であると捉え、アリストテレス倫理学を、近代の経済パラダイムを克服する倫理学として解釈する。ラトゥーシュの関心は、開発政治の修正や改良よりも、人間存在の可能性そのものを近代の経済的、科学的、技術的思考から解放してゆくことにある。

したがってラトゥーシュは、近代の経済パラダイムに依拠しない新しい人間像と社会像が構想することを試みており、その代表的なものが、近年彼が提案している「脱成長(decroissance)」社会である。脱成長社会とは経済成長を目的としない社会であり、市場経済における商品関係よりも非商品的な関係が、資本主義体制における搾取的な労働よりも共愉にあふれる(コンヴィヴィアル)創造的な活動が重視される社会である。またラトゥーシュの脱成長論は、生態系に配慮した自律社会を先進国と途上国の各地域で構築することも提唱しており、多元的でエコロジカルな民主主義を世界中で創造してゆくことを構想している。脱成長社会においては、人は「功利」に従う打算的な経済人としてではなく、他者や自然との贈与関係の中に組み込まれた「間柄を重視する実践的な行為主体」として位置づけられる。換言すると、脱成長社会は、人間が有している多様な象徴行為の可能性を再生し、近代の経済論理が支配的なパラダイムではなくなるような社会である。

報告者は、このようなポスト開発思想の倫理は、近代の経済論理の前提条件を離れて人間存在の多様な可能性を追求するという点で、今後、和辻哲郎の「人間の学としての倫理学」が掲げる様々なテーマと照合して研究される必要がある、と提案した。またポスト開発思想は、環境問題などの今日的な問題を考える上で、人間の「身体性」と「象徴行為」を経済学と近代科学の枠組みを超えて再評価してゆくための基礎となることも指摘した。このようなポスト開発思想の倫理観は、より哲学的な次元では、人生観や生命観の再検討として議論される必要があることも指摘した。

最後に、国際開発政治の規範の歴史的展開を鑑みたとき、ポスト開発の倫理は、新自由主義グローバリゼーションの影響下で国際開発の表舞台から消えつつある(広義の社会主義思想の伝統が生み出した)「正義」の文法を、エコロジーの問題を含める形で新たに再構築していくことに貢献するだろう、と報告を締めくくった。 (了)