ACTIVITIESプロジェクト紹介

【予備研究】分極化の時代のマイノリティ文化

 

研究の目的と意義

 

現在、多文化主義政策に対するバックラッシュが顕著になっている。多文化主義政策とは、1960年代後半から、国民国家の内部に主流文化とマイノリティ文化が存在することを認め、マイノリティの社会経済的排除をマイノリティ文化の周縁化と結びつけて理解し、社会経済的平等政策に加えて、文化の承認をすすめようとする政策である。その典型例としては、多文化主義の主要理論家であるウィリアム・キムリッカやチャールズ・テイラーらが活動するカナダや、多極共存型民主主義論を展開したアーレンド・レイプハルトが活動するオランダがしばしば言及される。しかし、多文化主義政策は、これらの国に限定した政策ではない。カナダ・クイーンズ大学のMulticulturalism Policies Indexも示すように、単一文化主義の伝統が強いと言われるフランスや日本をはじめ多くの国々で、様々な地域的、言語的、文化的、宗教的、移民出身マイノリティ文化の承認という意味での多文化主義政策が実現されてきた。

しかしながら、近年、ポピュリズム政党の台頭、歴史修正主義やヘイトスピーチの広がりの中で、主流文化によるマイノリティ文化の周縁化を修正しようとする多文化主義政策を主流文化に対する脅威として、すなわち、自らの文化を多文化主義政策の被害者として理解する政策や社会運動が活発化している。アメリカ合衆国のBlack lives matterに対するWhite lives matter運動や、フランスにおける主要政治家による白人差別を訴える言説、日本における在日特権を許さない市民の運動など、その具体例は枚挙にいとまがない。この多文化主義政策に対するバックラッシュを主流文化とマイノリティ文化の分極化(polarization)として捉え、この仕組みを理解する。

 

中間報告

 

年度報告